「私、綾部高校出身です。」

鹿ケ谷かぼちゃソフトクッキー開発秘話


第1章 ~始まりは、女子高生のひと言だった~


綾部青年会議所は2015年度、「地域の埋もれた魅力」を発掘し、それにイノベーションを起こして再発信する「商品開発プロジェクト」を立ち上げました。


プロジェクトの鍵を握る「地域の埋もれた魅力」を発掘するワークショップ。その中で、オブザーバーとしてご参加いただいた京都府立綾部高校由良川キャンパス(東分校)の女子生徒のみなさんから提案されたのが「鹿ケ谷かぼちゃ」でした。

 

綾部市が生産量のシェア7割を占め、その多くが綾部高校由良川キャンパスで栽培されているという京の伝統野菜「鹿ケ谷かぼちゃ」。

 

形がユニークで装飾用としても重宝され、最高級品は1個2,000円以上するブランド野菜。しかし、知名度が低いために販路が十分ではなく、効率的な生産方法も確立していないために年々生産者が減っているのが大きな課題に。

 

このような中、貴重な伝統野菜の継承や地域の農業発展のためにと長年研究を重ねてきたのが綾部高校由良川キャンパスだったのです。


第2章 ~運命の「鹿ケ谷スウィーツ総選挙」~


「鹿ケ谷かぼちゃ」に関する地元の高校生の長年の研究成果を発表するとともに、市民の間でも知名度が低いこのブランド野菜の魅力を広く発信したい。

 

この目標を達成する手法として我々が考えたのは、誰もが親しみやすい鹿ケ谷かぼちゃのスウィーツを開発して発信するというものでした。

 

商品開発の際には綾高生からアイデアを募集し、50点以上の案の中からクレープ、みたらし団子、ドーナツ、アイスクリーム、シュークリームの5品を採用。地元飲食店などの協力も得て、ついにスウィーツがついに完成しました。

 

そして、これらを効果的に発信するために企画したのは、「新たなるご当地グルメを発掘せよ! 鹿ケ谷スウィーツ総選挙」(2015年度10月定例会)。先着300名の一般市民に実際に商品を提供し、人気投票をして頂くという形式を採用。国民的アイドルやゆるキャラのイベントなどでも人気を集める「総選挙」と名付けました。

 

当日は5品それぞれのブースを設け、アイデアを出した高校生自らが、JCメンバーの協力を得て実際にスウィーツを調理。

 

開会セレモニーでは丹精込めて鹿ケ谷かぼちゃを栽培した高校生が「現状と今後の可能性」をテーマに思いを発表する場面を設けることで、高校生の活躍ぶりも広く発信しました。


第3章 ~B級グルメフェアは大好評! しかし…~


大きな反響を得た「鹿ケ谷スウィーツ総選挙。来場者300名による人気投票の結果、栄えある人気ナンバーワンに輝いたのは「鹿ケ谷かぼちゃドーナツ」でした。

 

この結果は後日、地元メディアやあやべ特産館の店頭などで大々的に発表。

 

このドーナツは、翌月に地元の「あやべ特産館前広場」で開催された「B級グルメフェア」で販売。綾部青年会議所メンバーと綾高生が協力してブースを出展し、訪れた多数の来場者のみなさんに、ふんわりホクホクのドーナツを味わっていただきました。

 

しかし、2015年度末。このプロジェクトには課題が一つ残りました。

鹿ケ谷かぼちゃを多くの市民のみなさんに発信し、その魅力を引き出すスウィーツのレシピも完成したのですが、これを継続に製造、販売するまでの「商品化」には至らなかったのです。

 

しょせん、イベントは一過性のもの。「鹿ケ谷かぼちゃ」にイノベーションを起こせたとは言えない状況でした。


第4章 ~そして、プロジェクトは第2章へ~


激動のプロジェクトが終わって迎えた新年。

2016年度の綾部青年会議所で「ひとづくり」「まちづくり」を担った地域の魅力創造委員会は、昨年動き始めたこのプロジェクトを、もう一歩前へ進めることを決めました。

 

3月定例会では、高校生と一緒にマーケティングセミナーを開催し、「鹿ケ谷かぼちゃ」の魅力や強み、それらを効果的にアピールするキャッチフレーズなどを検討。2016年度の近畿地区大会茨木大会のブースでは、再度ドーナツを発信。商品を入れる袋には、高校生のみなさんに手書きしていただいたオリジナルラベルを張らせていただきました。


第5章 ~広がる地域の輪 青・学・産・福 そして官?~


2年目を迎えた鹿ケ谷かぼちゃプロジェクトの大きな目標は、「鹿ケ谷スウィーツ」の商品化。

 

商品化とは、誰かが責任を持って商品を製造し、安定的に販売するということ。

いくら多種多様な青年経済人が集まる綾部青年会議所であっても、それは容易なことではありません。

 

しかし、我々は心強い協力者を得ることができました。

 

1949年の創業以来半世紀以上にわたり、包装資材のトータル提案企業として綾部で活躍されるタマヤ株式会社様と、障害を持たれた方々の自立支援に長年取り組まれてきた社会福祉法人・綾部福祉会様が2016年4月にオープンされたカフェ併設の製菓施設「ワークショップ・サクラティエ」様です。

 

自身も綾部高校出身で、以前から綾部高校由良川キャンパスとはクッキーのパッケージ製作などで関係を持たれていたタマヤの熊内社長との出会いで、話はとんとん拍子に展開。

 

綾部青年会議所と綾高生が考えたスウィーツとパッケージのアイデアを、タマヤ様とサクラティエ様が形にして、最終的にはサクラティエ様の商品として販売していただけることになりました。

さらに完成した商品は、綾部市が取り組まれる「あやべ特別市民制度」の「ふるさと産品」の一品として、年間契約される会員の皆様に発送されることも決まりました。

 

タマヤの熊内社長のお言葉をお借りすれば「青・学・産・福・官」の夢のような共同開発、コラボレーションの実現です。

《リンク》

鹿ケ谷かぼちゃを生産されている
京都府立綾部高等学校 由良川キャンパス(東分校) 様
https://www.kyoto-be.ne.jp/higashi-ayabe-hs/cms/


パッケージ制作で協力いただいた
タマヤ株式会社 様
http://www.tamayakk.co.jp/


ソフトクッキーの開発段階から協力いただいた
ワークショップサクラティエ 様
http://ayafuku.or.jp/group/sakura

 

ソフトクッキーが「ふるさと産品」として採用された

あやべ特別市民制度

https://www.ayabefan.com/


第6章 ~ひょうたん型に夢を乗せて~


いよいよ迎えた商品発売の記者発表。

多くの報道陣から取材を受けて、商品が世に出回ることになりました。

 

あれ、「ドーナツ」じゃない!?

 

そうなんです。この1年間の試行錯誤の中で、一つの大きな決断がありました。

 

「市民や観光客の皆様に手に取っていただける商品とは?」

「製造を引き受けていただくサクラティエ様が大量生産可能なスウィーツとは?」

「お土産にするなら、賞味期限も大事!」

 

何度も何度もワークショップを重ねる中で、ドーナツはいったん白紙に戻したのです。

 

鹿ケ谷かぼちゃあんを挟み込んだソフトクッキーは、年配の方でも食べやすいふんわり触感に。

鹿ケ谷かぼちゃのトレードマークともいえる、ひょうたん型をくりぬくのにも苦労しました。

そして、商品名として決まった「私、綾部高校出身です。」

これは11月定例会で「商品名」を決めるワークショップを開き、メンバーや関係者のみなさんの投票によって選んだものです。

 

6月1日の発売から1カ月。

 

サクラティエのほか、あやべ特産館とあやべ温泉、京丹波町の道の駅「味夢の里」でも販売し、

すでに800個が売れる人気ぶりです。

 

この商品は1箱が売れるごとに、高校生の励み、地場企業の発展、ハンディキャップを持たれた地域のみなさんの就業、雇用機会の拡大につながります。

 

将来的には、鹿ケ谷かぼちゃ」が高級ブランドとしてもっともっと定着し、地域の主力の農産物として地域の農業を潤し、地域活性化につながることを心から期待しています。


近畿地区大会尼崎大会 モザイクアート

2017年7月8日に兵庫県尼崎市で開催された「近畿地区大会尼崎大会」の「KICK OFF ONE FOR KINKI」中で、来場者の皆様の笑顔の写真を撮影させていただき、モザイクアートを制作いたしました。
ご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。

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